D.キミと俺。

しばらく机に突っ伏していると、ふいにわき腹をツンッとされた。
言うまでもなく、俺は一瞬身体をびくりとさせた。

「りんねちゃん、おはよ♪」

わき腹を両手で抑えながらゆっくと顔をあげると、そこには満面の笑みを浮かべる大嶋さんがいた。

「.....っ」

いま目の前でわき腹をつついた相手が、実は男子だったなんて知らないことを考えると、非常に申し訳ない気分になる。

けど、言えるわけねぇだろ!?

言ったら衝撃的すぎてすごい顔される、絶対。
どんな顔されるかな、
ひきつって何も言えなくなる?
それともショックすぎて倒れる?
どっちにしても、大嶋さんなら十分にありえる反応だ。

「りんねちゃん、気分悪い?」

気づくと目の前でしゃがみ込んで、なんか複雑な表情をしてる大嶋さん。
あ、そうだ、冷静に。
あくまで冷静に......挨拶を!

「お、おは、おはおはおはよう!」

...........ダメだ、柚木さんのキャラが完全崩壊だ。
なに戸惑って変な声出してんの俺!
一気に顔が熱くなるのが、イヤでもわかった。
恐る恐る大嶋さんの顔色を伺う。

...........あの、大嶋さん。
あなた今、ものすごい震えて何か我慢してるような顔してますよ?←

「ぶふっ、あはははっ、やだもー何言ってんのりんねちゃん!」

ついにこらえられなくなったのか、吹き出してむちゃくちゃ大爆笑しだした大嶋さん。
どうやらいまのはセーフだったらしい。

「いや〜アウトでしょ、それ!」


-----ビクッ


な、何!?俺いま声でてた!?
周りを見渡すと、近くで『彼氏ができたらどこまで許せるか』を討論してる女子達。
...........あ、そのアウトか。

はあ、無駄に焦っちゃったじゃん!
近くの女子達のバカ!とかゆっとく。

と、そのとき、

「お、くすけんおはよー!」

...........あ、

亮ちゃんの声で振り向いた先には.......確かに俺の姿があった。



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